初田ハートクリニックの法度

「あなたが、駅員さんを呼んでくれたの?」

「まあね。案内所までひとっ走り。陸上部だから走るのは得意なんだ」

 通り過ぎる人が何人もいる中、助けてくれる人がいたことに感謝する。

 お礼になりそうなものを探して、ポケットにイチゴ飴が入っていたことを思い出した。

「おれい。こころばかりですが」

「え? ああ、これはどうも。じゃあもらうばかりじゃ悪いから俺もこれをあげよう」

 飴と交換するような形で個包装のクッキーをもらった。

「きみ、同じクラスの根津美だろ」

「東堂さんは、同じクラスなの?」

「根津美は有名人だから」

 まだクラスメートの名前を一人も覚えていないから、ネルは自分を覚えている人がいたことに驚いた。

 そして自分が有名人だと言われても訳がわからなかった。