初田ハートクリニックの法度

「うちで働くなら、医療事務の資格があると大変嬉しいですね」

「それは、何歳になったら取れる?」

「年齢制限はないですが、医療事務の専門学校に行けば詳しく教えてもらえるので資格を取りやすいです」

 どこを目指せばいいのかもわからない真っ白だった道に色がついた。

 初田の夢であるクリニック、その手伝いをしたいとネルは心から思った。

 幸い、学校は友子と初田の説得に応じてくれて、ネルはこれまで通りの高校に通うことができる運びとなった。

 昼休みに少しの間、仮眠を取ることを許してもらえたのだ。

 月に一回白兎の元に通院して、副作用や幻覚、睡眠発作の状態に合わせて薬を調整する。

 通院の際は初田が一緒に行ってくれて、普段のネルの症状を伝えてくれる。

 帰りに友子のところに行って経過報告するのが常だ。

 そして初田の元で暮らすようになって一年が過ぎ、二年生の秋。

 三者面談の場で、ネルは胸を張って担任に希望進路を伝えた。

「卒業したら医療事務の学校に行って、初斗にいさんの立ち上げる病院で働きます」