初田ハートクリニックの法度

 テーブルに並べて食べ始めると、向かいから視線を感じる。

「お味のほどは」

「おいしいよ。おにぎりを作るの上手だね」

「よかった」

 ネルは初田の答えを聞いて、安心したように自分のおにぎりを食べ始めた。

 子育て経験などない初田だが、なんとなく親心というものがわかった気がした。

 見栄えや味が悪かろうと、子どもが自分のために作ってくれるのは嬉しいし、おいしいのだ。

「にいさんが作ってくれたおかずも、おいしい」

「それは何よりです」

 食後は処方された薬を服用する。

 この薬が体に合うなら、学校に行っている時間帯の睡眠発作を抑えることができる。

 発作が軽くなれば、あとは少しだけ学校側で補佐してもらえばいい。