初田ハートクリニックの法度

 エレベーターで三階にあがってすぐの部屋だ。 

 ダイニングキッチンには、観葉植物のパキラやガジュマルが置かれている。

「はい、ネルさん。今日からここもネルさんの家だからスペアキーをあげよう」

「ありがとう。にいさんは、お花が好きなの?」

「わたしの趣味ではなくて、母さんがたまに持ってくるんだ。アパートに置ききれなくなったからって」

 じっとガジュマルに見入っているネルに、初田は教えてあげる。

「ネルさん、こっちが風呂。ここがトイレで、そっちの部屋が寝室」

「たたみ」

「畳に敷きふとんって落ち着くよね」

 畳部屋にはたたまれたふとんと小さなテーブル、卓上ライトが置かれている。

 テーブルには医学書が数冊積んである。

 ネルは一番上の一冊を開いてみたけれど、専門用語ばかりでちんぷんかんぷんだった。