初田ハートクリニックの法度

 息を吹きかけながら何口かにわけて飲む。

「おいしい」

「それはなにより。ネルさん、今夜一晩PSG検査をするんだけど、わたしも今日は病院に泊まり込むから、何かあったら呼んでくれていいからね」

「ありがとう」

「なにかさっき聞きそびれた疑問や不安なことはある?」

「なにも」

 ネルはゆったりした口調のまま、首を左右に振って答える。

 あまり焦ったり不安がったりという様子を見せない。

 病気かもしれないと言われたのが唐突すぎて、実感が追いついていないのかもしれない。