初田ハートクリニックの法度

「それで、メールである程度は送ってもらったけど、葬儀中に眠っちゃったんだって?」

「す、すみません」

 母親にもそのことを叱られていたため、ネルは背中を丸めてしまう。

「怒っているんじゃないよ。ワタシは症状について知りたいだけ」

 白兎はつとめて穏やかに聞く。

 初田が車中で聞き出せたことを説明して、それ以外の部分はネルが自ら説明する。

「夜は何時に寝て、朝何時に起きる? ちゃんとご飯を食べているかい」

「よくわからないです。十一時すぎ、くらいに寝て、七時くらいに起きます。ごはんは、お母さんがパンやスーパーのお惣菜を買っておいてくれるから……」

 話している最中、ネルの体がまた揺らいで、とっさに初田が受け止めた。

「葬儀の時、二時間ほど前にも同じ状況でした」

 目の前で症状を直接見て、白兎も顔を険しくした。

「これは確かに検査が必要だな。ほぼ確定だろうが、血液検査とPSGをしよう。初田君、親から入院の同意をもらいたい。連絡を取ってくれ」

「わかりました」

 PSGとは、終夜(しゅうや)睡眠(すいみん)ポリグラフ検査の略称だ。

 最低でも一日入院して専用の機械を取り付け、睡眠状態や心電図、呼吸を調べる。

 数分してネルが目を覚まし、初田が検査内容の説明をした。