初田ハートクリニックの法度

 脳神経内科の診察室は三室あり、その一番奥、第三診察室に入る。

 デスクの前に白衣を着た女性が座っていた。
 年の頃は初田より少し上。

 長い黒髪を後ろに流していて、アンダーリムの眼鏡をかけたつり目が初田とネルを見る。

「やっと来たか初田君。……って、喪服で院内を歩くな。縁起でもない」

「これは失礼。葬儀場からすぐ来たものだから」

 喪服の上着を脱いで、初田はネルに座るよう促す。

 初田は預かっていた保険証を白兎に渡して、ネルの隣に座る。