朝起きて外を見たら、ゾンビがいる世界に変わっていた。
「マジ??これがドラマでみるゾンビか」とビックリしていた琢磨。
「やべ、出勤どうしよう?ドラマみたいに逃げるのかな?そもそも、勤務先あるのかな?マジかよぉぉ。でも行くしかないし。有休使い果たしたし」
と、琢磨は慌てるも、意を決して外に出た。
「やべ、ゾンビだらけじゃん?!ダメだぁ。終わったぁ。うわあああぁぁ、くるなぉぁあ、くそぉぉおおおお!!!!」
と叫びながら走っていたら、誰一人──いや誰ゾンビ?──追いかけて来ない。
「あれ?こんな大きな声なのに誰も反応しない」
琢磨は拍子抜けした。
(ドラマだったら、すぐかぎつけて追いかけられるのに。ボーガンも用意したのに)
「なんで誰もパニックになってないんだ……俺以外、全員ゾンビ?」
そこに1人(1ゾンビ)が琢磨に語りかけてきた。
女子高生ゾンビ「ねぇねぇ、何でそんなに逃げ回っている感出してるの?もしかして、ゾンビを怖がってる?」
琢磨「うわぁぁあ。出たぁ!!!」
女子高生ゾンビ「そんなに驚かなくて大丈夫だよ。ほらほら、ボウガンも構えないで。銃刀法違反になるよ(笑)」
琢磨「だ、だってゾンビでしょ?」
女子高生ゾンビ「あはは、そうだけど、それ、ドラマの見過ぎだよ!ウケる(笑)」
琢磨「いやいや、そうは言ってもゾンビでしょ?」
女子高生ゾンビ「そうだよ!」
琢磨「噛まれるとゾンビになるんでしょ?!」
女子高生ゾンビ「ま、そんななり方もあるけど(笑)」
琢磨「…って言うか、何で喋ってんの?妙に明るいし、襲ってこないし!」
女子高生ゾンビ「ガァァォァ」
琢磨「うやぁぁぉ!!!やっぱりだぁあぁあ」
女子高生ゾンビ「超ウケる(笑)。ごめん、冗談冗談、あ、急いでいたみたいだけど、時間大丈夫??」
琢磨「へ?!あああ、やべ、行かなきゃ」
女子高生ゾンビ「気をつけて行ってらっしゃ〜い」
琢磨(なんだこれ?お見送りされた……そんなことより、間に合わない……急がねば)
琢磨は急いで駅に向かう。見渡すとやはりゾンビばかりだ。そこに知り合いに似たゾンビが歩いていた。
ゾンビおばさん「おはよう!琢磨ちゃん、怖い顔してどうしたの?でも明るい顔色ね。」
琢磨「お、おばさん?!ゾンビになっちゃったの???」
ゾンビおばさん「そうよぉ!良いでしょ?」
琢磨(い、いいのか?)
ゾンビおばさん「そんなことより、時間大丈夫なの?」
琢磨「あ、やべ…おばさん、ありがとう!」
ゾンビおばさん「良いのよぉ!今度琢磨ちゃんのお肉かじらせてもらえば、うふ」
琢磨「っ?!……そ、それは遠慮しときます」
琢磨は、飛び込むように電車に乗った。
琢磨「はぁはぁ、の、乗れた。これで間に合う」
見渡してみると、周りは、暗い色合いに包まれていた。なぜなら乗客のほとんどが、ゾンビだからだ。スーツ姿のゾンビも、制服姿のゾンビも、みんなくすんだ肌色になっている。でもなぜだか、雰囲気は明るかった。変な臭いもしなかった。
ドラマの場合、電車内にいたら、逃げまどったり、戦ったりするが、誰も琢磨を襲ってこないのだ。
琢磨(これ、僕を油断させて、ガブってする罠なのかなぁ。待って、何かのドッキリ番組かも……)
琢磨は警戒して警戒して立っていると、次の駅から同僚の松島が乗ってきた。
琢磨「おおお!松島」
松島「おはよう!琢磨!……あれ?お前顔色良いな」
琢磨「ん?普通だと思うけど?松島は、顔色悪いな……ま、まさか、お前もゾンビ?」
松島「うん。いやぁ、昨日ゾンビになってさぁ!てへ!」
琢磨「てへ!って…」
松島「お前はなんないのか?なんか楽だぜゾンビ」
琢磨「いや、僕は良いよ」
松島「そか!じゃあ、なりたくなったらいつでも言ってな!かじってやるから(笑)」
ど、どうやら世界はゾンビだらけになったようだ。ただ一つドラマと違うのは、ゾンビが底抜けに明るいと言う事。
そして僕は、こう名付けた。
「ファニエストゾンビ」と。


