嘘つき優等生

「またねー、実柚(みゆず)ちゃん」
「うん、またね」
 家の方向が違う瑠愛(るあ)ちゃん、用事がある西壁(にしかべ)くんと別れて、駅に向かう。
 私の少し前を歩く(そら)くんとは、あまり話したことがないから、なんとなく気まずい。
 ふいに、(そら)くんがこちらを振り向く。
「――苦しくねぇの?」
「え……?」
 私の本心を見透かすかのようだった。
 その瞳を、私は見つめられない。
「そうやって、いっつも本音隠してさ。……苦しくねぇの?」
 ……(そら)くんに、分かるはずがない。
 私は、お姉ちゃんじゃないと……、詩悠(しはる)じゃないといけない。
「たまには、思ってること言えば?」
 バレていたんだ、と思った。
 彼の真っ直ぐな瞳に、嘘はつけないんだ……。
「それって……」
「そんな訳ないじゃん!」
 (そら)くんの言葉に被せるように言ってしまう。
 どうしてなんだろう。
 私は、ただ、『助けて』って言いたいのに……。