嘘つき優等生

「……ということで、学年球技大会の実行委員を決めたいと思います。各クラス、男女一名ずつ選出します。立候補とか推薦とか、ある人はいますか?」
 いつもは賑やかな教室。
 この時間は、シーンとしている。
 みんな、やりたくないからな。
「みんな、去年もやったから、分かると思うけど、実行委員は……」
「ってかさ、去年もやってたし、(ほし)さんで良いんじゃない?」
 ……やっぱり、こうなるか。
 なんとなく、そんな気はしていた。
 私だって、本当はやりたくないよ……。
「ねえ、お願いできる?」
「……やりたい人がいないなら、私は別に、良いよ」
 女子たちは、ふっと力が抜けたみたい。
 誰だって、面倒臭いことはやりたくないもんね。
「じゃあ、男子は?去年やってた人とか……」
松井(まつい)やってたじゃん!今年もやってくれよ!」
「いや、僕は……」
 男子の間では、押し付け合いが始まっていた。
坂田(さかた)くんも去年やってたよな?」
「いや、俺は去年全然仕事してないから、他のやつが良いと思うけど。……寺尾(てらお)とか」
 まだ決まりそうにないな……。
 そう思っていた時だった。

「じゃあ俺やる」

 やけに教室に響く声。
 ……それは、(そら)くんだった。
「誰もやりたいやついないんだろ?じゃあ俺やる」
 同じ言葉を二回繰り返す。
「え、マジ⁉︎(そら)、やってくれるの?」
 男子たちも、安堵したようだ。
 でも、意外だったな。
 (そら)くんが、実行委員に立候補するなんて。
 多分、誰も想像していなかった。