拝啓、嘘で結ばれた君へ

(なぎ)ちゃーん!良かったよー!同じクラスで」
「そうだねー」
 私たちは、高校三年生になった。
「良かったじゃん?高坂(こうさか)くんと同じクラスで」
「か、からかわないでよ」
 あの日、私は彼に「よろしくお願いします」と返した。
 もう一度、関係をスタートさせた。
「で?今日は、彼と帰るの?」
「うーん……。どうだろう……」
 彼は、いつもみんなの中心にいる。
 そんな彼を誘う勇気はない。
 ……みんなの真ん中で、笑っている彼を。
「ふーん。じゃあ、一緒に帰ろー」
「……うん。そうだね。帰ろ」
 少しモヤモヤした気持ちを抱えながら、璃奈(りな)と一緒に教室を出る。
 ……(こう)は、まだクラスメイトと話していた。



「あ!」
 突然、璃奈(りな)が大きな声を出した。
「ごめん、私、用事あるんだった。先に帰るね」
「え、あ、ちょっと……」
「あとは二人でごゆっくり」
 え?
 二人?
 璃奈(りな)の視線は、私の後ろに向いていた。
 私は、「もしかして……」と思いながら振り向く。
「……(こう)
 思った通り、そこにいたのは(こう)だった。
「ごめん。雨川(あめかわ)さんとの時間、邪魔しちゃって」
「いや、大丈夫だよ。それより……。走って来たの?」
「うん、まあ……。気づいたら、梛乃(なぎの)、帰ってたから」
 そうか。
 ちょうど、彼がいた位置からは、私は見えないんだ。
「びっくりして……。いや、勝手に俺が今日は一緒に帰るつもりだったから。急いで来たんだけど、雨川(あめかわ)さんとの時間、邪魔したら悪いなーって思って、ずっと後ろ歩いてたんだけど……」
「そう、だったんだ……」
 (こう)が後ろにいることに璃奈(りな)が気づいて、急に帰ったのか……。
「……じゃあ、帰ろっか」
「うん、そうだね」
 璃奈(りな)には、後でお礼言わないとな。
「……同じクラスになれて、良かったね」
「うん……。とは言っても、学校ではあんまり話さないけどね」
 私たちが付き合っていることは、璃奈(りな)美果(みか)にしか伝えていない。
 多分、(こう)は、誰にも言っていないんじゃないかな。
 私たちが付き合っているという噂は聞いたことがない。
「はは、そうだな……」
 公にすることでもないと思う。
 (こう)も、そう思っているから、誰にも言っていないんだと思う。
「……(こう)。好きだよ」
 『ウソコク』から始まった関係だった。
 (こう)のことなんて、好きじゃなかった。
「分かってるよ」
 でも、いつの間にか惹かれてしまっていたね。
「……(こう)
 少し前を歩く彼に呼びかける。
「なに?」
 唇に当たったのは、温かいものだった。
 思わず、笑顔がこぼれる。
「これからもよろしくね」
 好きじゃなかったけど。
 興味もなかったけど。
 今となっては、付き合って良かった、と思っている。
 それが、私たちの、この物語の結末。

 (こう)、大好きだよ――。
 いつまでも一緒にいようね。