拝啓、嘘で結ばれた君へ

「……高坂(こうさか)くんのことが好きです。……付き合ってください」
 一度も目を合わせずに、私は彼に告白した。
 本気な訳がない。
 ……私に、好きな人なんていない。
「それ、……ほんと?」
 嘘に決まってる。
 でも、そんなこと言えない。

高坂(こうさか)くんって、(なぎ)ちゃんのこと好きらしいよ――?』

 クラスメイトにそう言われた。
 ふーん、そうなんだ。
 そう思った。
 ……高坂(こうさか)くんは、高身長で、頭も良くて、運動神経も抜群で、いわゆるモテ男子。
 もちろん、本当かどうかは、分からなかった。
 でも、ついさっき、その話を聞いていた他のクラスメイトに呼び止めれてしまった。
 高坂(こうさか)くんのことが好きだと公言している女子だった。
 彼女の手の中には、私が大切にしているクマのぬいぐるみが握られていた。

『その話、ほんと⁉……梛乃(なぎの)ちゃん。高坂(こうさか)くんに、告白してみてよ』

 噂好きのクラスメイトに、そう言われて、今に至る。
「…………よろしくお願いします……」
 ……どう思えば良いのかな。
 告白が、成功した。
 ……それも、クラスメイトに流されて仕掛けた『ウソコク』が。
「連絡先、交換しよう」
「うん、そうだね……」
 スマホを取り出す。
「はい、これ、俺のID」
「ありがと……」
 仕方なく、高坂(こうさか)くんのIDを入力して、友達登録する。
 ……そっか。
 高坂(こうさか)くんって、下の名前、(こう)っていうんだ……。
「……じゃあ、これからよろしくね」
「あ、うん…………」
 結局、高坂(こうさか)くんに『ウソコク』だとは言えなかった。