「……随分と、重そうだな」
「……はい……とても……身動きが、取れないくらいです」
冗談めかした声音を選んでくださっているのに、その目はちっとも笑っていなかった。
私を茶化しているのではなく、ただ、真剣に見ている。
あまりの圧倒的な美しさを前にして、私からはそんな、正直すぎる言葉しか出てこなかった。
暁臣様が、私の方へ一歩、近づく。
けれど、暁臣様は私に触れない。
この完璧な装束を崩すことを恐れるように、ほんの少しだけ声を落として、私だけに聞こえるように囁いた。
「本当に……美しい。俺には、もったいないくらいだ」
その言葉だけで、視界が滲み、胸がいっぱいになる。
熱が喉の奥までせり上がって、返事ができない。
今まで、私は何度もこの方に助けられ、支えられ、運ばれてきた。
でも、今日だけは——
この重さに耐え、自分の足で一歩ずつ、この方の元まで歩いてきたのだと。
そう、初めて自分の誇りとして思える。
小さく頷くのが精一杯で、それでも暁臣様は、きっと分かってくださった気がした。
「行こうか」
暁臣様の力強い一言で、私は、ゆっくりと前を向く。
もうこれまでの自分には戻れないという寂寥感よりも先に——
ただ、生涯この人の隣にいるのだという事実だけが、心の中で確かな重石となっていた。
怖さは消えない。けれど、支えになる重さなら、抱えていける。
一歩、外へ踏み出すと、そこにはどこまでも澄み切った、祝福の青空があった。
秋晴れの鮮やかな光が玄関先に降り注ぎ、私の纏う美しい衣を、優しく、そして誇らしげに照らし出していた。
冷たい風が頬を撫で、私はその感触でようやく——今日が現実なのだと知った。
「……はい……とても……身動きが、取れないくらいです」
冗談めかした声音を選んでくださっているのに、その目はちっとも笑っていなかった。
私を茶化しているのではなく、ただ、真剣に見ている。
あまりの圧倒的な美しさを前にして、私からはそんな、正直すぎる言葉しか出てこなかった。
暁臣様が、私の方へ一歩、近づく。
けれど、暁臣様は私に触れない。
この完璧な装束を崩すことを恐れるように、ほんの少しだけ声を落として、私だけに聞こえるように囁いた。
「本当に……美しい。俺には、もったいないくらいだ」
その言葉だけで、視界が滲み、胸がいっぱいになる。
熱が喉の奥までせり上がって、返事ができない。
今まで、私は何度もこの方に助けられ、支えられ、運ばれてきた。
でも、今日だけは——
この重さに耐え、自分の足で一歩ずつ、この方の元まで歩いてきたのだと。
そう、初めて自分の誇りとして思える。
小さく頷くのが精一杯で、それでも暁臣様は、きっと分かってくださった気がした。
「行こうか」
暁臣様の力強い一言で、私は、ゆっくりと前を向く。
もうこれまでの自分には戻れないという寂寥感よりも先に——
ただ、生涯この人の隣にいるのだという事実だけが、心の中で確かな重石となっていた。
怖さは消えない。けれど、支えになる重さなら、抱えていける。
一歩、外へ踏み出すと、そこにはどこまでも澄み切った、祝福の青空があった。
秋晴れの鮮やかな光が玄関先に降り注ぎ、私の纏う美しい衣を、優しく、そして誇らしげに照らし出していた。
冷たい風が頬を撫で、私はその感触でようやく——今日が現実なのだと知った。



