肌にまとわりつくような、ほんのり汗ばむ湿度を感じて、深い微睡の底からゆっくりと意識が浮上していく。
窓の外では、まだ雨が降り続いているのだろう。
部屋の中は薄暗く、湿り気を帯びた静寂が、柔らかな膜のように満ちていた。
重たい瞼を持ち上げ、そっと視線を横へ向ける。
ベッド脇の椅子に腰掛け、腕と足を組んだまま静かに目を閉じている暁臣様の姿が、すぐそこにあった。
眠っていらっしゃるのだろうか。
けれど、眉間には深く険しい皺が刻まれている。
まるで眠りの中でも、なお私を守るために戦い続けているかのようで、胸がきゅっと締め付けられた。
雨の中、泥濘に膝をついた所までは覚えている。
あのあと、私はまた、この方の腕の中で意識を失ってしまったのだろう。
身体を動かそうとして、ふと袖口から覗いた自分の手首に目が留まる。
そこには、痛々しいほど鮮やかな赤い痣のような痕が残っていた。
——夢じゃ、ない。
東宮殿下に無理やり腕を掴まれ、あの冷え冷えとした香りに包まれたこと。
消そうとしても消えない現実を、私の肌が無言で訴えている。
「……っ……」
暁臣様に背を向け、布団の中で小さく身を丸める。
穢された。あんな恐ろしい方に触れられた私を、暁臣様はもう、汚らわしいと思って嫌いになられたかもしれない。
そう考えた瞬間、堪えていたはずの涙が溢れ出し、枕を濡らしていく。
声を殺して泣くたび、胸の奥が引き裂かれるように痛んだ。
——ごめんなさい……暁臣様、ごめんなさい……。
この一年で、少しは変われたと思っていたのに。
けれど結局、私はあの暗い蔵の中にいた頃と何も変わっていない。
こうして一人で蹲り、震えることしかできないままだ。
「すみれ……なにを泣いているんだ?」
窓の外では、まだ雨が降り続いているのだろう。
部屋の中は薄暗く、湿り気を帯びた静寂が、柔らかな膜のように満ちていた。
重たい瞼を持ち上げ、そっと視線を横へ向ける。
ベッド脇の椅子に腰掛け、腕と足を組んだまま静かに目を閉じている暁臣様の姿が、すぐそこにあった。
眠っていらっしゃるのだろうか。
けれど、眉間には深く険しい皺が刻まれている。
まるで眠りの中でも、なお私を守るために戦い続けているかのようで、胸がきゅっと締め付けられた。
雨の中、泥濘に膝をついた所までは覚えている。
あのあと、私はまた、この方の腕の中で意識を失ってしまったのだろう。
身体を動かそうとして、ふと袖口から覗いた自分の手首に目が留まる。
そこには、痛々しいほど鮮やかな赤い痣のような痕が残っていた。
——夢じゃ、ない。
東宮殿下に無理やり腕を掴まれ、あの冷え冷えとした香りに包まれたこと。
消そうとしても消えない現実を、私の肌が無言で訴えている。
「……っ……」
暁臣様に背を向け、布団の中で小さく身を丸める。
穢された。あんな恐ろしい方に触れられた私を、暁臣様はもう、汚らわしいと思って嫌いになられたかもしれない。
そう考えた瞬間、堪えていたはずの涙が溢れ出し、枕を濡らしていく。
声を殺して泣くたび、胸の奥が引き裂かれるように痛んだ。
——ごめんなさい……暁臣様、ごめんなさい……。
この一年で、少しは変われたと思っていたのに。
けれど結局、私はあの暗い蔵の中にいた頃と何も変わっていない。
こうして一人で蹲り、震えることしかできないままだ。
「すみれ……なにを泣いているんだ?」



