「はっ!さすがは『王華』と呼ばれる『黒薔薇』だね」
ようやく掴まれていた腕が放され、私は一歩よろめく。
綾乃様が咄嗟に肩を抱いて支えてくださった。
「すみれ様っ!」
「綾乃。すみれをしっかり抑えていろ」
命じるような口調。
言い終えるより早く、東宮殿下の右腕がゆっくりと天へ掲げられた。
「私が指先から放つ程度の雷しか起こせないとでも思っているのか?」
「……なんだと?」
突如、頭上でゴロゴロと地鳴りのような音が響き始めた。
先ほどまで重苦しく垂れ込めていただけの曇天が、瞬く間に墨を流したような漆黒へと塗り替えられていく。
「ふふっ。見せてあげよう。『黄薔薇』の中でも最大級の火力を誇る、真の『雷鳴』を。——人間に使うのは初めてだが、君なら耐えられるだろう?」
私を支える綾乃様の肌から、パリッ、と静電気の弾ける音がした。
互いの顔を見合わせると、結い上げた髪がふわりと逆立つ。まるで無重力みたいに。
「瞬間的な火力のみに限定すれば、『黒薔薇』の破壊すら凌駕すると自負している」
——ドンッ!!!!
鼓膜を突き破るほどの轟音。
巨大な落雷が、東宮殿下の真上に落ちた。
そんな……。
目も眩むような青白い雷光に包まれながら、東宮殿下が平然と立っている。
『異能』とは天候すら従え、世界の色を塗り替えるほど恐ろしいものだったなんて。
ようやく掴まれていた腕が放され、私は一歩よろめく。
綾乃様が咄嗟に肩を抱いて支えてくださった。
「すみれ様っ!」
「綾乃。すみれをしっかり抑えていろ」
命じるような口調。
言い終えるより早く、東宮殿下の右腕がゆっくりと天へ掲げられた。
「私が指先から放つ程度の雷しか起こせないとでも思っているのか?」
「……なんだと?」
突如、頭上でゴロゴロと地鳴りのような音が響き始めた。
先ほどまで重苦しく垂れ込めていただけの曇天が、瞬く間に墨を流したような漆黒へと塗り替えられていく。
「ふふっ。見せてあげよう。『黄薔薇』の中でも最大級の火力を誇る、真の『雷鳴』を。——人間に使うのは初めてだが、君なら耐えられるだろう?」
私を支える綾乃様の肌から、パリッ、と静電気の弾ける音がした。
互いの顔を見合わせると、結い上げた髪がふわりと逆立つ。まるで無重力みたいに。
「瞬間的な火力のみに限定すれば、『黒薔薇』の破壊すら凌駕すると自負している」
——ドンッ!!!!
鼓膜を突き破るほどの轟音。
巨大な落雷が、東宮殿下の真上に落ちた。
そんな……。
目も眩むような青白い雷光に包まれながら、東宮殿下が平然と立っている。
『異能』とは天候すら従え、世界の色を塗り替えるほど恐ろしいものだったなんて。



