「放せと言っているんだ」
「暁臣。君は本当に、間の悪い男だね」
拘束していた腕は解かれた。——が、安心する暇もない。
次の瞬間には両手首を、鉄の枷のような力で掴まれ、身動きが取れなくなる。
暁臣様の顔を見るのが怖い。
ただ項垂れることしかできない。唇が震える。肩が勝手に小刻みに揺れる。
「放せと言っているのが聞こえなかったか」
「五条殿下……!お待ちください、恒一様にはわたくしから……!!」
「……ふん。それほどまでに、この『無華』の娘が大事なのかな?」
東宮殿下は嘲笑を浮かべ、暁臣様を真っ向から見据えた。
「私から奪ってみるか?——できるものなら」
東宮殿下が、パチン、と乾いた指の音を立てた。
その刹那、肌を焼くようなピリッとした刺激が走り、空気が爆ぜる。
バチッ——という凄まじい放電音。
稲妻のような閃光が、暁臣様へ向かって放たれた。
「……ちっ」
暁臣様は短く舌打ちすると、手袋を素早く剥ぎ取り、迫り来る閃光を片手で無造作に弾き飛ばした。
ジュワッ、となにかが焼けるような嫌な音が響く。
これが……東宮殿下の『異能』なの……?
腕が、足が、冷たくなる。私はただ、その場に立ち尽くすしかない。
「恒一様!おやめください!これ以上は取り返しがつかなくなります……っ」
「……綾乃。悪いが、少し黙っていてくれるかな」
東宮殿下は冷たく突き放すと、立て続けに三回、指を鳴らした。
先ほどよりも太く、鋭い閃光が連続して爆ぜる。
けれどそのいずれもが、暁臣様の掌によって無残にも霧散し、消え失せていった。
「暁臣。君は本当に、間の悪い男だね」
拘束していた腕は解かれた。——が、安心する暇もない。
次の瞬間には両手首を、鉄の枷のような力で掴まれ、身動きが取れなくなる。
暁臣様の顔を見るのが怖い。
ただ項垂れることしかできない。唇が震える。肩が勝手に小刻みに揺れる。
「放せと言っているのが聞こえなかったか」
「五条殿下……!お待ちください、恒一様にはわたくしから……!!」
「……ふん。それほどまでに、この『無華』の娘が大事なのかな?」
東宮殿下は嘲笑を浮かべ、暁臣様を真っ向から見据えた。
「私から奪ってみるか?——できるものなら」
東宮殿下が、パチン、と乾いた指の音を立てた。
その刹那、肌を焼くようなピリッとした刺激が走り、空気が爆ぜる。
バチッ——という凄まじい放電音。
稲妻のような閃光が、暁臣様へ向かって放たれた。
「……ちっ」
暁臣様は短く舌打ちすると、手袋を素早く剥ぎ取り、迫り来る閃光を片手で無造作に弾き飛ばした。
ジュワッ、となにかが焼けるような嫌な音が響く。
これが……東宮殿下の『異能』なの……?
腕が、足が、冷たくなる。私はただ、その場に立ち尽くすしかない。
「恒一様!おやめください!これ以上は取り返しがつかなくなります……っ」
「……綾乃。悪いが、少し黙っていてくれるかな」
東宮殿下は冷たく突き放すと、立て続けに三回、指を鳴らした。
先ほどよりも太く、鋭い閃光が連続して爆ぜる。
けれどそのいずれもが、暁臣様の掌によって無残にも霧散し、消え失せていった。



