暁臣様のお邸の中でも、数少ない和室に足を踏み入れる。
畳の青い匂いと、きゅっと張った空気。
いつ来ても背筋が勝手に伸びてしまう。
ここは——お着物の仕立てをお願いするときにだけ、開かれるお部屋。
いつもなら、部屋いっぱいに反物が並ぶ。
季節をそのまま写し取ったような色が折り重なって、目が追いつかないほど鮮やかで。
袖をすべらせるたび、絹が小さく鳴る音まで、どこか浮き立つ。
けれど、この日だけは違った。
窓から差し込む柔らかな陽光を受けて、白、白、白——。
あまりに眩い純白の連なりに、一瞬、視界が白く塗り潰されたような錯覚に陥る。
息を吸ったのに、胸が追いつかない。
「……暁臣様……これは……?」
「すみれが婚儀で着る、白無垢の反物だ」
声が掠れた。喉が、やけに乾く。
『婚儀』という言葉が耳に触れた瞬間、心臓が跳ねた。
熱が頬へ、首筋へ、一気に駆け上がる。
『俺たちの、婚儀の日取りが決まった』
畳の青い匂いと、きゅっと張った空気。
いつ来ても背筋が勝手に伸びてしまう。
ここは——お着物の仕立てをお願いするときにだけ、開かれるお部屋。
いつもなら、部屋いっぱいに反物が並ぶ。
季節をそのまま写し取ったような色が折り重なって、目が追いつかないほど鮮やかで。
袖をすべらせるたび、絹が小さく鳴る音まで、どこか浮き立つ。
けれど、この日だけは違った。
窓から差し込む柔らかな陽光を受けて、白、白、白——。
あまりに眩い純白の連なりに、一瞬、視界が白く塗り潰されたような錯覚に陥る。
息を吸ったのに、胸が追いつかない。
「……暁臣様……これは……?」
「すみれが婚儀で着る、白無垢の反物だ」
声が掠れた。喉が、やけに乾く。
『婚儀』という言葉が耳に触れた瞬間、心臓が跳ねた。
熱が頬へ、首筋へ、一気に駆け上がる。
『俺たちの、婚儀の日取りが決まった』



