屋敷に戻った晴は、白瞑と一緒に早速、料理を作り始めた。
材料を揃えながら、月の雫を取り出す。プレテストが終わった後、照陽がそのまま晴にくれた。
「まだ少し、残っているから」
オーロラ色の小瓶を眺めて微笑む。
「ケーキを作るの?」
晴が準備した食材を眺めて、白瞑が問う。
「そう。白瞑も知っているケーキだよ」
ボールに卵の黄身と白身を分けて落とす。
「白瞑はメレンゲをお願い。それで……」
卵の白身と砂糖に加えて、月の雫を小さじ半分、垂らした。
「これで作ろう。生クリームにもいれまーす」
「月の雫入りなんて、楽しみだね」
白瞑が嬉しそうにメレンゲを泡立て始めた。
小一時間ほどして出来上がったのは、桃の薔薇ケーキだ。
ココアスポンジに七色オーロラのバニラ生クリーム、桃で象った薔薇の花がケーキの上に咲いている。
「懐かしいなぁ。晴が最初に作ってくれたケーキだ」
「白瞑が、僕の好きな甘味が食べたいって言っていた時だよね」
あの時は、自分用にしていたケーキを作った。今は、白瞑と晴のケーキだ。
「月の雫が、輝いているね」
生クリームが七色に光り輝く。白瞑がケーキをうっとりと眺めた。
「ちょっと待ってね。こうすると、もっと……」
指先に力を籠めると、晴の指先に茜色の神力が灯った。
「本当に使えた」
何となくできそうな気がしてやってみたら、本当にできた。自分で自分にビックリした。
「私と同じ色の神力だね」
白瞑が嬉しそうに微笑んだ。
「白瞑から力を分けてもらったって感じがして、嬉しいな」
指先に灯った神力が、月の雫を引き出す。
「せーの、それ!」
ケーキから零れる光を引っ張り上げる。七色のオーロラがリボンのようにひらひらと飛び出して、桃の薔薇を包んだ。飴細工でラッピングしたみたいだ。
「ケーキの上に虹が掛かってる。綺麗だね」
白瞑と共に、美しいケーキを眺めた。
「二人で食べよう。伴侶記念だよ」
「最高の記念日だ。飲み物は何がいい?」
晴は白瞑と目を合わせた。
「フワフワ雲のミルクティ」
二人の声が重なった。
「私がお茶の準備をするから、晴はケーキを運んで準備して」
「わかった、ありがとう」
テーブルの上に、ケーキとミルクティが準備される。すっかり支度が整った。
「切るのが勿体ないね。とても綺麗だ」
「僕一人で作っていた時より、ずっと綺麗」
しばらく、二人でケーキを眺めた。
「美味しいものは味も堪能しないとね。切ろう」
「そうしようか」
白瞑が抑えてくれるケーキに、ナイフを入れる。二人分を切り分けて、席に着く。
「いただきます」
桃の薔薇ケーキを二人揃って、パクリとした。
「んー! 美味しい」
感動で晴の心が輝いた。
「前のケーキも美味しかったけど。このケーキは特別に美味しいよ」
「うん! 一人の時より、美味しいって思う」
白瞑の目もキラキラしている。
(二人で美味しいもの食べるって、いいな)
一人でも美味しいと思った味を二人で分け合えるのは嬉しい。
「いずれ、お店も開けるように考えてみる?」
白瞑の提案に、晴は考え込んだ。
「いつかは、やってみたい。だけど、今は御饌を届けるスタイルでいいかな」
「そうなの? 晴はお店に興味あるんだよね?」
「興味あるけど……今は白瞑と二人でゆっくり料理がしたいな」
お店となると、今よりバタバタする。勝手も変わってくる。
「それに、夕暮れ時までに終わらなかったら、一緒に空を見上げられなくなっちゃう。それは嫌だもん」
白瞑のお務めの時間は、晴にとって特別だ。二人でゆっくり過ごせる時間を、削りたくない。
「晴……やっぱり可愛い」
伸びてきた手が、晴の後頭部を掴まえた。
「え……んっ」
唇が重なって、ぺろりと舐めとられた。
「クリーム、付いてたよ」
白瞑が美味しい顔をしている。まるで晴が食べられたみたいだ。
「二人でゆっくり料理をする時間も、空を見上げる時間も、晴が大事にしてくれて嬉しいよ。私にとっても特別な時間だから」
白瞑が、ケーキを頬張る。とても嬉しそうだ。そんな当然が、晴にとっても嬉しい。
「しばらくは二人でゆっくり過ごそうか」
白瞑が微笑む。晴は頷いた。
「時間はたっぷりあるから。二人の特別、もっと増やそう」
笑い合って、一緒に美味しい御饌を食べる。それだけで、幸せだ。
ミルクティにフワフワ雲を溶かして、白瞑と一緒に飲み込んだ。
材料を揃えながら、月の雫を取り出す。プレテストが終わった後、照陽がそのまま晴にくれた。
「まだ少し、残っているから」
オーロラ色の小瓶を眺めて微笑む。
「ケーキを作るの?」
晴が準備した食材を眺めて、白瞑が問う。
「そう。白瞑も知っているケーキだよ」
ボールに卵の黄身と白身を分けて落とす。
「白瞑はメレンゲをお願い。それで……」
卵の白身と砂糖に加えて、月の雫を小さじ半分、垂らした。
「これで作ろう。生クリームにもいれまーす」
「月の雫入りなんて、楽しみだね」
白瞑が嬉しそうにメレンゲを泡立て始めた。
小一時間ほどして出来上がったのは、桃の薔薇ケーキだ。
ココアスポンジに七色オーロラのバニラ生クリーム、桃で象った薔薇の花がケーキの上に咲いている。
「懐かしいなぁ。晴が最初に作ってくれたケーキだ」
「白瞑が、僕の好きな甘味が食べたいって言っていた時だよね」
あの時は、自分用にしていたケーキを作った。今は、白瞑と晴のケーキだ。
「月の雫が、輝いているね」
生クリームが七色に光り輝く。白瞑がケーキをうっとりと眺めた。
「ちょっと待ってね。こうすると、もっと……」
指先に力を籠めると、晴の指先に茜色の神力が灯った。
「本当に使えた」
何となくできそうな気がしてやってみたら、本当にできた。自分で自分にビックリした。
「私と同じ色の神力だね」
白瞑が嬉しそうに微笑んだ。
「白瞑から力を分けてもらったって感じがして、嬉しいな」
指先に灯った神力が、月の雫を引き出す。
「せーの、それ!」
ケーキから零れる光を引っ張り上げる。七色のオーロラがリボンのようにひらひらと飛び出して、桃の薔薇を包んだ。飴細工でラッピングしたみたいだ。
「ケーキの上に虹が掛かってる。綺麗だね」
白瞑と共に、美しいケーキを眺めた。
「二人で食べよう。伴侶記念だよ」
「最高の記念日だ。飲み物は何がいい?」
晴は白瞑と目を合わせた。
「フワフワ雲のミルクティ」
二人の声が重なった。
「私がお茶の準備をするから、晴はケーキを運んで準備して」
「わかった、ありがとう」
テーブルの上に、ケーキとミルクティが準備される。すっかり支度が整った。
「切るのが勿体ないね。とても綺麗だ」
「僕一人で作っていた時より、ずっと綺麗」
しばらく、二人でケーキを眺めた。
「美味しいものは味も堪能しないとね。切ろう」
「そうしようか」
白瞑が抑えてくれるケーキに、ナイフを入れる。二人分を切り分けて、席に着く。
「いただきます」
桃の薔薇ケーキを二人揃って、パクリとした。
「んー! 美味しい」
感動で晴の心が輝いた。
「前のケーキも美味しかったけど。このケーキは特別に美味しいよ」
「うん! 一人の時より、美味しいって思う」
白瞑の目もキラキラしている。
(二人で美味しいもの食べるって、いいな)
一人でも美味しいと思った味を二人で分け合えるのは嬉しい。
「いずれ、お店も開けるように考えてみる?」
白瞑の提案に、晴は考え込んだ。
「いつかは、やってみたい。だけど、今は御饌を届けるスタイルでいいかな」
「そうなの? 晴はお店に興味あるんだよね?」
「興味あるけど……今は白瞑と二人でゆっくり料理がしたいな」
お店となると、今よりバタバタする。勝手も変わってくる。
「それに、夕暮れ時までに終わらなかったら、一緒に空を見上げられなくなっちゃう。それは嫌だもん」
白瞑のお務めの時間は、晴にとって特別だ。二人でゆっくり過ごせる時間を、削りたくない。
「晴……やっぱり可愛い」
伸びてきた手が、晴の後頭部を掴まえた。
「え……んっ」
唇が重なって、ぺろりと舐めとられた。
「クリーム、付いてたよ」
白瞑が美味しい顔をしている。まるで晴が食べられたみたいだ。
「二人でゆっくり料理をする時間も、空を見上げる時間も、晴が大事にしてくれて嬉しいよ。私にとっても特別な時間だから」
白瞑が、ケーキを頬張る。とても嬉しそうだ。そんな当然が、晴にとっても嬉しい。
「しばらくは二人でゆっくり過ごそうか」
白瞑が微笑む。晴は頷いた。
「時間はたっぷりあるから。二人の特別、もっと増やそう」
笑い合って、一緒に美味しい御饌を食べる。それだけで、幸せだ。
ミルクティにフワフワ雲を溶かして、白瞑と一緒に飲み込んだ。



