目が覚めると、暖かな布団の中。
枕元には、見覚えのある白い花が一輪、水を張った器に挿されている。
「目が覚めたか」
「……この花は?」
「知らん」
「琥珀様が置いたのでは」
「知らんと言っている」
肩を起こすと、琥珀が眉を寄せた。
「まだ寝ていろ」
「琥珀様のお怪我は」
「俺より、溺れかけた自分を心配しろ」
「刃は受けていません」
「水は飲んだだろう」
言い返せずにいると、障子の外から足音が近づいた。
「姉さま!」
砂都が飛び込んでくる。
琥珀は何も言わず、入れ替わるように部屋を出ていった。家族だけにしてくれたのだろう。
「砂都、走っては――」
「母さま、早く!」
布団の脇へ膝をつき、私の手を両手で掴んだ。
「ずっと待ってたんだから。助けに来るのも、目を覚ますのも遅い」
「……ごめんね」
「帰ってきたから、もういい」
砂都の目から涙が零れると、後から入ってきた母が砂都の肩を抱く。
母の手が、私の頬に触れる。
「……本当に、無事でよかった」
「母さまも、ご無事で」
「ええ。もう、誰の許しも要らないわ」
その言葉の意味を、母から聞かされたのは、少し後になってから。
枕元には、見覚えのある白い花が一輪、水を張った器に挿されている。
「目が覚めたか」
「……この花は?」
「知らん」
「琥珀様が置いたのでは」
「知らんと言っている」
肩を起こすと、琥珀が眉を寄せた。
「まだ寝ていろ」
「琥珀様のお怪我は」
「俺より、溺れかけた自分を心配しろ」
「刃は受けていません」
「水は飲んだだろう」
言い返せずにいると、障子の外から足音が近づいた。
「姉さま!」
砂都が飛び込んでくる。
琥珀は何も言わず、入れ替わるように部屋を出ていった。家族だけにしてくれたのだろう。
「砂都、走っては――」
「母さま、早く!」
布団の脇へ膝をつき、私の手を両手で掴んだ。
「ずっと待ってたんだから。助けに来るのも、目を覚ますのも遅い」
「……ごめんね」
「帰ってきたから、もういい」
砂都の目から涙が零れると、後から入ってきた母が砂都の肩を抱く。
母の手が、私の頬に触れる。
「……本当に、無事でよかった」
「母さまも、ご無事で」
「ええ。もう、誰の許しも要らないわ」
その言葉の意味を、母から聞かされたのは、少し後になってから。



