鉄姫の嫁入り~妖狐の暗殺に失敗し、契約花嫁になりました~

 琥珀の一言に、一族の者たちが次々と武器を捨てた。

 力が抜けた途端、膝が崩れる。
 水を吸った着物と枷が、急に何倍も重くなった。側近が駆け寄る。

「砂菜様、ご無事ですか」

 鉄姫ではなく、名を呼ばれた。

「はい。琥珀は……?」
「俺はここにいる」

 抱き上げられる。

「な、なにを!?
「歩けぬのだろう?」

 ほっとしたからだろうか……それともここに連れてこられた時にかがされた香の影響か。
 身体だけでなく、瞼が重くなる。

「……砂菜?」
「琥珀……」
「何だ」
「……来てくれて、ありがとうございました」
「砂菜、おい目を閉じるな。砂菜!!」

 答えようとしても、何かに引っ張られるように瞼が落ちた。
 最後まで聞こえていたのは、何度も私の名を呼ぶ琥珀の声だった。