「砂菜っ」
「姉さま!」
「母さまっ!砂都……ずいぶん大きくなって……」
記憶の中より痩せた母の頬に胸が痛む。
十二歳になった妹は、最後に見た時より随分と背が伸びていた。
それでも、こちらを見る目だけは変わっていない。
祝言を前に、花嫁の母と妹が身支度を手伝う。
そういう名目で、三人は本殿から離れた客殿へ通さる。
本当なら抱きしめたかった。
けれど一族の者が見ている。
母もそれを分かっているから、私の髪へ触れるだけで何も言わない。
「髪が伸びたわね」
「切る必要がありませんでしたので……それに、鋏はすぐ刃毀れしてしまいます」
「それは、昔からね。怪我は?」
「ありません」
母の声が少しだけ掠れた。
傷がないから、苦しくなかったわけではない。
それは、いつも声を殺して泣く私の背を擦ってくれていた母だけが知っている。
一族の者たちは廊下にも庭にもいる。
琥珀は本殿で当主たちを迎えており、ここには来られない。
「姉さまこそ。ひどいこと、されてない?」
「大丈夫よ」
「本当に?」
小声で問われ、釣られるように小さく頷く。
砂都は昔から、私の「大丈夫」を信じない。
「姉さま!」
「母さまっ!砂都……ずいぶん大きくなって……」
記憶の中より痩せた母の頬に胸が痛む。
十二歳になった妹は、最後に見た時より随分と背が伸びていた。
それでも、こちらを見る目だけは変わっていない。
祝言を前に、花嫁の母と妹が身支度を手伝う。
そういう名目で、三人は本殿から離れた客殿へ通さる。
本当なら抱きしめたかった。
けれど一族の者が見ている。
母もそれを分かっているから、私の髪へ触れるだけで何も言わない。
「髪が伸びたわね」
「切る必要がありませんでしたので……それに、鋏はすぐ刃毀れしてしまいます」
「それは、昔からね。怪我は?」
「ありません」
母の声が少しだけ掠れた。
傷がないから、苦しくなかったわけではない。
それは、いつも声を殺して泣く私の背を擦ってくれていた母だけが知っている。
一族の者たちは廊下にも庭にもいる。
琥珀は本殿で当主たちを迎えており、ここには来られない。
「姉さまこそ。ひどいこと、されてない?」
「大丈夫よ」
「本当に?」
小声で問われ、釣られるように小さく頷く。
砂都は昔から、私の「大丈夫」を信じない。



