市を出たところで、鋭い風切り音がした。
琥珀へ向かって短刀が飛ぶ。
考えるより先に、身体を割り込ませた。
避ける必要はない。いつもどおり受ければいい。
短刀は胸元へ当たり、そのまま地面へ落ちる。
はずだった。腕を引かれると、琥珀の胸へ背中がぶつかる。
「え?」
私を抱き込むように身体を入れ替えた琥珀の肩へ、刃が掠めた。
視界に一瞬、見慣れない鮮やかな赤が弾ける。
「琥珀様!」
私が叫ぶと同時に、狐火が刺客を包む。
「ぎゃぁぁぁぁ!」
悲鳴とともに刃が落ち、駆けつけた配下が男を取り押さえた。
琥珀の肩口から、赤い血が滲んでいる。
「なぜ……私には、刃が通りません」
「知っている」
「では、なぜ庇ったのですか」
傷を押さえながら、私を見る。
「……お前が怖がると、知ってしまったからだ」
「怖くても、盾にはなれます」
「それも知っている」
「なら……」
「知っていて、何度も受けさせたいとは思えなくなった」
胸の奥が強く鳴った。
刃が向かってくる時より、ずっと落ち着かない。
「琥珀様は、刃が通るのですよ。次は、私に受けさせてください」
「断る」
「契約違反です」
「盾の使い方を決めるのは俺だ」
「随分と勝手ですね」
「今頃気づいたか」
いつもの顔で言われ、腹が立つより先に安堵した。
けれど、同時にこれがこの程度の怪我で済まなかった時を想像して、ぞっとする自分がいることにも驚く。
琥珀へ向かって短刀が飛ぶ。
考えるより先に、身体を割り込ませた。
避ける必要はない。いつもどおり受ければいい。
短刀は胸元へ当たり、そのまま地面へ落ちる。
はずだった。腕を引かれると、琥珀の胸へ背中がぶつかる。
「え?」
私を抱き込むように身体を入れ替えた琥珀の肩へ、刃が掠めた。
視界に一瞬、見慣れない鮮やかな赤が弾ける。
「琥珀様!」
私が叫ぶと同時に、狐火が刺客を包む。
「ぎゃぁぁぁぁ!」
悲鳴とともに刃が落ち、駆けつけた配下が男を取り押さえた。
琥珀の肩口から、赤い血が滲んでいる。
「なぜ……私には、刃が通りません」
「知っている」
「では、なぜ庇ったのですか」
傷を押さえながら、私を見る。
「……お前が怖がると、知ってしまったからだ」
「怖くても、盾にはなれます」
「それも知っている」
「なら……」
「知っていて、何度も受けさせたいとは思えなくなった」
胸の奥が強く鳴った。
刃が向かってくる時より、ずっと落ち着かない。
「琥珀様は、刃が通るのですよ。次は、私に受けさせてください」
「断る」
「契約違反です」
「盾の使い方を決めるのは俺だ」
「随分と勝手ですね」
「今頃気づいたか」
いつもの顔で言われ、腹が立つより先に安堵した。
けれど、同時にこれがこの程度の怪我で済まなかった時を想像して、ぞっとする自分がいることにも驚く。



