虎徹先生に急かされて、ほとんど勢いみたいに決めちゃったけど。
アクスタ部、やることになった。
土曜の昼下がり。
俺は自宅の自分の部屋で、スケブを広げて構図を考えていた。
「構成……構図、うーん」
俺が考えると、男の子と女の子が並んで立ってる、みたいな絵にしかならない。
「もっと、こう……描いていてワクワクするような面白い感じ、なんないかなぁ」
何枚かラフをかいてみたけど、ワクワクしない。
(そういえば、美術部を辞めた理由も、こんな感じだったな)
水彩も油絵も、描いているのは楽しかった。
けれど、自分の絵がワンパターンな気がした。いつも同じアングルの絵を描いているようで、窮屈で、息苦しくて。
部員は皆いい人で、先輩も優しかったけど。
(辞めちゃったんだよな)
虎徹先生には勿体ないって何度も言われた。
『どんな形でもいいから、絵を描くのはやめんなよ』
そんな風に言った先生は、きっと俺のことを心配してくれていたんだ。
だから今回も、強引にアクスタ部とか作ってくれた。
「余計なお世話……でも、嬉しいかも」
だって、今回は一人じゃない。
似たような悩みを抱えている龍牙がいる。
ピロン、とスマホが鳴った。
龍牙からのメールだった。
「あれ、どうしたんだろ。今日はバイトって言っていたのに」
スマホをスクロールする指が、止まった。
『龍のアクキーのカラーできた。
ポスターの構図も何パターンか考えてみたから
絵を載せられそうだったら、描いてみて』
添付されているデータを開く。
「やっば。龍牙、やっぱりカラー上手い。鱗のグラデ、エグい」
カラーなら俺も自信があったけど。
龍牙の塗りを見たら、得意だなんて言えない。
そう思えるくらい、綺麗だ。
「これ、完成でいいよな。明日、父さんに頼んで、アクキー作っちゃおっと」
もう一つのデータを開いてみる。
文化祭のポスターのラフが入っていた。
「うわ、これ……」
入っていたラフは三枚、どれも俺には思い付かないような構図だ。
「上から、下から……こんな描き方……うわぁ、いいな。最後の一枚、めっちゃいい」
真上から見下ろすアングルも、真下から見上げるアングルもいいけれど。
後ろから声でも掛けて振り返ったようなアングル、最高だ。
「これ、描いてみよう」
俺はスマホを見ながら、スケブにガツガツ絵を描き始めた。
手が、指が、ペン先が、自由にスケッチブックの上を滑る。
(何でだろう。龍牙の構図って描き易い。めっちゃイメージ湧く!)
前を歩く仲間たちに声を掛けて、皆が振り返ったような。
自分の視点で絵が描ける。
ラフが完成した頃には、すっかり興奮していた。
思わず、残り二枚のアングルも描いちゃった。
「やべぇ、楽しい」
だから、龍牙にメッセしちゃった。
『明日、俺んちで一緒にアクキ―作ろ!
文化祭のポスターも、ラフ三枚できた!』
龍牙から、すぐに返事が来た。
『りょ。早すぎなんだがw』
お前のアングルが最高だったからだよ。
ついつい描いちゃったじゃん。
興奮冷めやらない気持ちで、ベッドの上でゴロンゴロンした。
夜なんか飛び越して、早く明日になればいい。
それくらい、ワクワクしていた。
アクスタ部、やることになった。
土曜の昼下がり。
俺は自宅の自分の部屋で、スケブを広げて構図を考えていた。
「構成……構図、うーん」
俺が考えると、男の子と女の子が並んで立ってる、みたいな絵にしかならない。
「もっと、こう……描いていてワクワクするような面白い感じ、なんないかなぁ」
何枚かラフをかいてみたけど、ワクワクしない。
(そういえば、美術部を辞めた理由も、こんな感じだったな)
水彩も油絵も、描いているのは楽しかった。
けれど、自分の絵がワンパターンな気がした。いつも同じアングルの絵を描いているようで、窮屈で、息苦しくて。
部員は皆いい人で、先輩も優しかったけど。
(辞めちゃったんだよな)
虎徹先生には勿体ないって何度も言われた。
『どんな形でもいいから、絵を描くのはやめんなよ』
そんな風に言った先生は、きっと俺のことを心配してくれていたんだ。
だから今回も、強引にアクスタ部とか作ってくれた。
「余計なお世話……でも、嬉しいかも」
だって、今回は一人じゃない。
似たような悩みを抱えている龍牙がいる。
ピロン、とスマホが鳴った。
龍牙からのメールだった。
「あれ、どうしたんだろ。今日はバイトって言っていたのに」
スマホをスクロールする指が、止まった。
『龍のアクキーのカラーできた。
ポスターの構図も何パターンか考えてみたから
絵を載せられそうだったら、描いてみて』
添付されているデータを開く。
「やっば。龍牙、やっぱりカラー上手い。鱗のグラデ、エグい」
カラーなら俺も自信があったけど。
龍牙の塗りを見たら、得意だなんて言えない。
そう思えるくらい、綺麗だ。
「これ、完成でいいよな。明日、父さんに頼んで、アクキー作っちゃおっと」
もう一つのデータを開いてみる。
文化祭のポスターのラフが入っていた。
「うわ、これ……」
入っていたラフは三枚、どれも俺には思い付かないような構図だ。
「上から、下から……こんな描き方……うわぁ、いいな。最後の一枚、めっちゃいい」
真上から見下ろすアングルも、真下から見上げるアングルもいいけれど。
後ろから声でも掛けて振り返ったようなアングル、最高だ。
「これ、描いてみよう」
俺はスマホを見ながら、スケブにガツガツ絵を描き始めた。
手が、指が、ペン先が、自由にスケッチブックの上を滑る。
(何でだろう。龍牙の構図って描き易い。めっちゃイメージ湧く!)
前を歩く仲間たちに声を掛けて、皆が振り返ったような。
自分の視点で絵が描ける。
ラフが完成した頃には、すっかり興奮していた。
思わず、残り二枚のアングルも描いちゃった。
「やべぇ、楽しい」
だから、龍牙にメッセしちゃった。
『明日、俺んちで一緒にアクキ―作ろ!
文化祭のポスターも、ラフ三枚できた!』
龍牙から、すぐに返事が来た。
『りょ。早すぎなんだがw』
お前のアングルが最高だったからだよ。
ついつい描いちゃったじゃん。
興奮冷めやらない気持ちで、ベッドの上でゴロンゴロンした。
夜なんか飛び越して、早く明日になればいい。
それくらい、ワクワクしていた。



