喪失騎士エルディーテの冥界追想録 〜 孤独な騎士の過去を辿る、運命を覆す相互救済ロマンス~

「鳥が喋ってはおかしい?」

模様のない真っ青な鳥は嘴を開いて厳粛に問う。
その声は性別を意識させない中性的なもので、追及するような口調だった。

「いや、おかしくはない。ケルベロスが喋るんだ。あり得ないことはない……」

冷静に、心の内をそのまま言葉にしたエルディーテは、しかし怪訝な顔つきのまま鳥を見た。

「君は冥界の存在なのか?」

自分が今見ているものが何か確かめようとした問いだった。

しかし鳥はエルディーテに応えることはなく、ぐるりと身体の周囲を旋回すると肩に留まり囁いた。

「挑戦者よ、ケルベロスは信用しない方がいい」

「それはどういう意味だ……」

肩口に移る視線は無意識に鋭くなり、眉間に皺が集まる。

しかし鳥は煙の如く消えてしまった。