妖喰いの悪食花嫁〜喰われるはずの生贄は、百鬼の主と百日の契約結婚を結ぶ〜

 百日目。
 喰われるために生まれた娘は、自分の意思で隣にいる者を選んだ。
 妖たちから恐れられた悪食花嫁は、もう誰の供物でもなかった。

 翌朝も、二人分の膳が向かい合わせに並ぶ。
 棗が焼き魚へ箸を伸ばすと、蛍が満足そうに目を細めた。

「何ですか」
「よく育ったと思ってな」
「やはり喰べるつもりだったのですね」
「違う。百日経っても、その解釈だけは変わらなかったか」

 棗は小さく笑う。
 その笑みを見た蛍が、もう一度名を呼んでほしそうに身を乗り出すと、棗はそっと耳元に唇を寄せた。

「……やはり、何度呼ばれてもいいな」