「しかもさ、その探してる人? だったら、報酬も出るらしいよ!?」
「報酬…」
報酬という言葉に、過剰に反応した。
内海家を追い出された澄にとって、喉から手が出るほど欲しいからだ。
「行くだけならタダだし、いいじゃん! 久遠さんの家、ここをまっすぐ行ったらすぐだから! 近いし、行ってみたら?」
「そうなんですね…」
「そうそう! あっ、てかそろそろ戻らないと…親父にまたどやされちゃう」
最後に口早に言うと、サッと軽く手を振って自転車に跨った。
来た時と同じように、あっという間に去っていく。
まるで、風のような人。
「それにしても、久遠家…門前払いされなければいいけれど…」
名家の人間は、特に忌み能力を嫌うと聞いた事がある。
澄は無意識に首筋の痣を髪で隠した。
「でも、たしかに…潮さんのおっしゃる通り、行くだけなら…」
ぼそりと呟いて荷物を持ち、石段から立ち上がった。
潮が教えてくれた通りの道を歩み、久遠家へと向かった。
その時の澄は、まだ知らない。
その一歩が、自分の人生を大きく変えることになるなんて。

