契約結婚ですが、旦那様は私に触れられません 〜光と闇が紡いだ奇跡〜


「えぇっ、人手…? んー、俺能力者の所に配達は行くけど、そう言う話はあんまり…あっ」

顎に手を添えて、真面目な顔をして考える潮。
流石の彼でも、そんな都合いい話はないかと諦めた時。
何かを思い出したようだ。

「そういや、さっき配達行った家、久遠さんっていう能力者の家なんだけどさ」
「く…久遠…!?」

潮の口から出た名前に、目を丸くした。

久遠家といえば、優秀な能力者を続々と輩出している一族。
噂では、今でも妖を交えた能力者一族の中でも限られた人しか参加できない上流会合の常連だとか。

「え? 澄ちゃん、久遠さん知ってるの?」
「いや…結構有名じゃないですか…? 私でも、名前は存じ上げてますし…」

内海家の使用人同然の扱いを受け、外出も自由にできなかった澄でさえ知っている。
それほど、久遠家というのは由緒正しい家柄なのだ。

「そうなんだ? でさ、そこでいつも配達品を受け取ってくれる人が、言ってたんだけど人を探してるって。たしか、異能力を持ってる女の人! 澄ちゃん、ピッタリだよ!」
「そんな…まさか」

潮の大雑把な説明に、思わず苦笑が漏れる。
名家が求めるのは、きっと火や水のような立派な異能だ。
忌み能力の自分など、最初から相手にされるはずがない。