契約結婚ですが、旦那様は私に触れられません 〜光と闇が紡いだ奇跡〜


「たしかに、最初は能力しか見てなかった。光の異能者なら、誰でも良い。そう思ってた」
「でも、私はもう…その力すら…」
「最後まで聞け。俺はこれまで、人間なんか大嫌いだった。会合の時の奴らみたいなのしか、人間はいないと思っていたからだ」

抱きしめる力が強くなった。
澄を離さないようにするために。

「だから、光の異能者を見つけたらさっさと世継ぎを生ませて家督を継がせたかった。闇以外の異能力なら、過ごしやすくなると思っていたからな」

澄には、もちろん心は読めない。
けれど、彼の扱いを見てきたからこそこの言葉がとても重い事が分かり、背中に腕を回してぎゅっと抱きしめ返した。

「でも、澄と出会ってーー捨てたもんじゃないと思った。澄となら、この先の未来にも期待ができる。そう思っている」
「え…? 私との未来、ですか…?」
「…あぁ。だから、澄。俺と本当の夫婦になってくれ」

異能が開花した日、澄は全てを否定されて捨てられた。

「お前さえいれば、他は何も望まない」

『出て行け! 二度とその顔を見せるな!』
内海家で浴びせられた最後の言葉が、音を立てて崩れていくようだった。