「…ありがとう、二人とも。でも、それじゃあ二人に申し訳なさすぎる。澄さん、提案させてもらってもよろしいですか?」
「提案、ですか?」
澄が小首を傾げると楓はこくりと頷いた。
「貴女に、光の異能者として異能を習得してもらいたく思います」
「はい。あのような事があって、今申し上げるのは心苦しいですが… 始祖の異能を正しく扱えれば、自分だけでなく周囲も守れます」
楓の提案に、目を丸くした。
思わず、律の方を見ればこくりと頷いた。
それはまるで、自分で決めて良いと言ってくれているようだ。
「…申し訳ありません。ありがたい申し出ですが、私には必要ありません」
「えっ…? いや、でも…」
「私…異能返還の手続きをしてこようと思っているのです」
澄がそう伝えると、楓は「はっ!?」と声を上げた。
そこに、いつもの丁寧さや冷静さはなかった。
「待ってください。光の異能力ですよ…? それを返還って…律。お前からも説得しろ、勿体無いって」
「…いや。本人が決めた事なら、止めるつもりはない」
「…そうですか。それなら、僕の出番はありませんね」
その後も少し世間話をした後、楓は久遠家を後にした。

