契約結婚ですが、旦那様は私に触れられません 〜光と闇が紡いだ奇跡〜


「澄っ!」
「旦那…様…?」

探し求めて、会いたかった人ーー律。
彼を見つけると、瞳からぽろっと涙が溢れた。

「澄! 飛び降りれるか!?」
「えっ…!? む、無理…! 無理ですっ…」

突然、律に言われれば首を横に振った。

「大丈夫だ! 絶対、受け止めてやる!」

律ではどうにもできない結界が張られており、異能を使えない。
両腕を広げてそう言われると、心が揺らいだ。

旦那様が、そう言うなら…。

しかし、そこは三階で下を見ると恐怖から固まった。

「くそが…! 舐めやがって…!」

男が起き上がり、ゆらゆらと澄に近付いた。
澄の異能が発動され、男が吹き飛ばされるのと同時に。

「あっ…」

澄も反動で窓から落ちた。
重力には逆らえず、真っ逆様に落ちていく。

(大丈夫ーー旦那様がいるもの)

落ちる最中、恐怖と同じくらい律への信頼があった。

「異能力、『守護結界』――解! 律! 能力を使え! その高さから人を抱えれば二人とも無傷では済まないぞ!」
「楓…!?」

落ちていく中、そんな会話が聞こえた。

「旦那様っ…」
「澄っ…異能力、『幽界』!」

伸ばした二人の指先が重なった瞬間、世界から音が消えた。