「闇の異能か…通りで、穢らわしいまじないがかけられてる」
「っ…! 旦那様が私に下さったものを、そんな風に言わないでっ…あっ…」
男から取り返そうと必死に手を伸ばしていると、その拍子に男の顔に爪が当たり、引っ掻いてしまった。
その瞬間、男の顔から笑みが消えお守りは外へ放り捨てられた。
澄の体は突き飛ばされ、床に横たわった。
「きゃっ…」
「まったく、大人しくしておけばいいのに…そうだ」
そう言うと、男は澄に近付いていった。
分からない恐怖に後ろへと退くが
「そもそも、この件の報酬…少ないんですよね。だから、貴女に少し褒美をもらいましょうか」
「な、なにを…?」
「旦那以外に触れられたくらいで、何が変わるんです? 一度くらい、減るものでもない」
男がそう言うと、澄の顎を手で捉えるとゆっくりと顔を近付けた。
ぎゅっと目を閉じて顔を逸らした。
それくらいしか、できる抵抗はなかった。
(申し訳ありませんっ…旦那様…っ)
強く願った瞬間、「うわっ!?」と声がして激しい物音が聞こえた。
ゆっくりと目を開けると、男が吹き飛ばされていた。
それはまるで、律との初夜が行われようとした日のように。
「えっ…?」
「ーー! ーーっ!」
男に驚いていると、遠くで何かが聞こえ震える足で窓の方へ向かった。

