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ぼんやりとしながらも辺りが見えるようになると、辺りを見渡した。
「ここ…は…?」
見覚えのない洋室のベッドの上。
上体を起こすと額を抑えた。
「そうだ…私っ…」
潮に酒瓶を渡しに行く前に、誰かに呼び止められて何かを嗅がされた事を思い出した。
ベッドから起き上がり、部屋の窓を見るとどこかの高い階にいた。
「っ…旦那様っ…」
知らない場所で不安になりながらも懐にしまったお守りを外に出すと、両手でぎゅっと握った。
(旦那様、旦那様、旦那様っ…!)
『澄の身に何かあればすぐ駆けつける事ができる。何かあれば、強く握れ』
会合の日に言われた事を思い出して強く念じた。
「なるほど…妙な異能の気配がすると思えば、そんな物を持っていたんですか」
「っ…!」
突然、背後からした声にビクッと肩を震わせて振り返った。
しかし、後ろには誰もいない。
少しすると、壁からすっと人が現れた。
「ひっ…!」
「あぁ、申し訳ない。驚かせる気は無かったんですよ。姿は消していたから、貴女の気持ちも分かります。ただ、貴女を東雲家へ引き渡せば、俺の任務は終わりますから。それまでお付き合いください」
「東雲家へ…? あっ…!」
東雲家といえば、久遠家に並ぶ名家。
もちろん、知り合いではない為首を傾げた。
男は笑みを絶やさぬまま、ゆっくりと距離を詰めてくる。
澄の手からお守りを奪い取ると、高く掲げた。

