「…なんだこれは」
闇渡により、律が移動したのは自分がまじないをかけたお守りの気配がある場所。
足元には瓶の破片。
家のすぐ近くということもあり、走って屋敷へ戻った。
「澄! 澄はどこにいる!」
敷地に入るなり、辺りを見渡して妻の名前を呼んだ。
「いかがなさいました…!?」
笹森が慌てて駆け寄った。
これほど声を張り上げる律を見るのは初めてだったからだ。
「えっ…奥様、ですか?」
「奥様なら、潮さんに空き瓶を届けると…商店の方に…」
「っ、澄を一人で出すなと申しただろ…!」
思わず声を張り上げると、使用人達がビクッと肩を震わせた。
澄が暮らす前の緊張感のある屋敷へ逆戻りしたようだ。
「…すまない」
「奥様が、いかがなかったのですか?」
「姿が見えない。まじないをかけたお守りから異能の気配がした。澄の身に、何かあったんだ」
ギリッと歯を噛み締めると、使用人達もざわついた。
「そんな…奥様の身に…!?」
「どうしましょう…私達も探しに参りましょう…!」
「…いや」
使用人達を止めると、覚悟を決めてまっすぐ前を向いた。
「お守りの気配はまだある。必ず、澄は知らせてくれる。それに俺は全力で応える。だから、待っていてくれ。必ず、連れて帰るから」
律の言葉に皆、大きく頷いた。

