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数日後、潮が久遠家へ配達に来た。
「毎度ー! 澄ちゃんこれ、今回配達分ね! 瓶も回収して行くよー」
「はいっ。いつもありがとうございます、潮さん」
澄にそう声をかけると、潮はニカッと爽やかに笑った。
「いやー、久遠様の所はたくさん頼んでくれるからこちらこそだよ! 特に、最近は増えたね?」
潮が空の瓶を荷台に乗せながら言った。
注文する量が増えたのは、使用人も一緒にご飯を食べるようになったらだ。
「まー、ウチとしてはありがたい限り! 澄ちゃん、旦那さんによろしく言っといてよ!」
「だ、旦那様に…」
自分は『旦那様』と呼ぶのに慣れているけれど、人から言われると照れてしまう。
夫婦という事を、他人にも認められた気がするから。
「うん! よろしく! それじゃっ」
空き瓶の入った箱を荷台に詰め終われば、ブンブンと勢いよく手を振って潮は去って行った。
「あらっ…酒屋さん、もう帰っちゃいました…?」
「はい、ちょうど今…あっ」
使用人が手に持っている二本の空き瓶を見て、出し忘れという事を察した。
「うーん…また今度にしましょうか」
「あの…おそらく潮さん、近くの商店街にいるでしょうし…渡してきますよ」
「えぇっ…ですが、旦那様からお一人で外へ行かないようにと…」
「すぐ近くですし、大丈夫ですよ」
そう言うと、使用人から空き瓶を受け取って屋敷の外へ出た。
胸元にしまったお守りに手を添えると、笑みが溢れた。
「まさか、こんなに早く出てくるとはな…」
男は物陰から、静かに笑みを浮かべた。

