契約結婚ですが、旦那様は私に触れられません 〜光と闇が紡いだ奇跡〜


「怒るなよ、律。ちょっと気になっただけさ」

ふっ、と軽く笑うと楓は自身の首筋を指した。

「あっ…同じ…」
「やはり、そうでしたか。まさか、生きてる間に同じ光の異能を持つ方に会えるとは。しかも、親友の奥方様」
「誰が親友だ。ただの腐れ縁だ」

楓の言葉をすぐに否定する律。
二人の関係性が見えず、首を傾げる澄。

「あ、あの…貴方は…?」
「あぁ、そうだ。まだ名乗っていませんでしたね。西園寺家当主、西園寺 楓(さいおんじ かえで)です」
「あっ…! 当主様…! 本日はお招き頂き、ありがとうございます…!」

慌てて頭を下げた。
するとすぐ、律が口を開いた。

「澄。帰るぞ」
「えっ…?」
「えぇっ。来たばかりじゃないか。律、滅多にこういうの来ないんだからもう少しいればいいだろ」

スタスタと帰りを急ぐ律。
律の行動に慌てる澄。
口を尖らせる楓。

「澄さん。律は案外、自慢したかったのかもしれませんよ? 素敵な花嫁を迎えたと」
「っ…!?」

澄が一度頭を下げて律と帰ろうとすると、楓がそっと耳打ちをした。
澄の顔は茹蛸のように赤くなった。

「澄。早く帰ろう」

顔の赤みが引かないまま、彼の元へ駆けた。

「光の異能を、闇の当主に取られるとは…」

なんて、二人を好ましく思っていない者がいるとは知らず。