「そんな…! せっかく授かった異能なのに…!」
清子が澄の選択を止めようとした。
異能というのは、みんなに与えられる能力ではない。
妖への恩義を強く思っている清子にとって、澄の選択は阻止せざるを得なかった。
「私には、必要ありません。だから、妖様に異能をお返しして、妖様に力を使ってもらいたいのです」
澄は少し遠くを見ながら答えた。
『異能返還』
妖から授かった異能を、再び妖へ返す儀式。
返還された異能は妖の力となり、世界を守る糧になる。
その力を妖に返す事で、昔より異能力者は随分と減った。
「私は、異能より今日寝る床と日銭について考えなければなりません」
「澄様…!」
「お世話になりました。どうぞ、お体にお気をつけて」
清子に最後の挨拶をすると、澄は屋敷を後にした。

