契約結婚ですが、旦那様は私に触れられません 〜光と闇が紡いだ奇跡〜


「澄」
「はい…?」
「中へ入る前に、これを持て」

そう言うと、手のひらに収まるお守りを貰った。

「これは…?」
「…俺がまじないをかけたお守りだ。これがあれば、澄の身に何かあればすぐ駆けつける事ができる。今日に限らず、何かあれば強く握れ。いいな?」
「は、はい…」

会合の前にそのような事を言う律。
よく分からず、ぽかんとしながらも頷いた。
彼が選ぶとは思えない淡い桜色のお守りをじっと見つめた。

「…そういう色、好きではないか?」
「へ…? いえ、可愛らしくて好きです。ただ、旦那様がこのように可愛らしいものを持っているのだ、と思いまして」
「俺が持つ物なら何でも構わん。澄に持たせるもの。変な物は持たせられないだろう」

澄の為に選んだと遠回しに伝われば、澄は目を細めて柔らかい表情をした。

「ふふっ…ありがとうございます」
「まぁ、それは念の為に持っておけと言うだけ。今日、澄から離れるつもりはない。お前も、不用意に俺から離れようとするな」

いつになく、怖い顔をして言う律にこくりと頷いた。

受付へ向かい、署名を済ませて西園寺家の敷地に入ると広さに驚いた。

「わぁ…すごい…」
「久遠様。会場へ向かいますので、お乗りください」
「…あぁ」

敷地内へ入れば、西園寺家の使用人が律と澄に声をかけた。
広大な敷地を進む為に、馬車に乗るよう言われたのだ。