「あぁ。半日は眠っていた」
「それほどもの間…旦那様、ありがとうございました」
「気にするな」
それだけ伝えると、目を細めて表情を和らげる律。
和やかな空気が流れたその時、「ぐぅ」と澄の腹の音が部屋に渡った。
「も…申し訳ありませんっ…」
お腹を抑え、恥ずかしさから耳まで赤くした。
「…そうだな。俺も腹が減った。飯にするか」
「あの、みなさんは…もう、召し上がりましたか?」
「いえ、そんな…当主様と奥様が頂いていないのに、私どもが先にいただくなどあり得ません」
澄の言葉に使用人達が慌てると、笑みをこぼした。
「それでは、みなさんで頂きましょう」
「えっ…し、しかし…」
笹森が律の方を見れば、律は小さく笑みを浮かべてこくりと頷いた。
「っ! みんな、すぐに食堂で食事をする準備をしましょう」
「はいっ」
「すぐにご用意致しますっ」
笹森の手配で皆が食堂へ向かった。
楽しそうな後ろ姿を見ていると、笹森が最後に部屋を出ようとした時。
「それと、旦那様…先にお伝えしたい事がございます」
「どうした?」
「その…召集がかかりました。上級良家の皆様から、澄様の紹介を兼ねた親睦会を行いたい、と…」
言いにくそうに申し出る笹森。
「…なんだと」
律は渋い顔をした。
久しぶりに見たその険しい表情に、澄は胸がざわついた。

