☆☆☆
「っ…」
「澄」
「旦那、様…?」
また律を傷つけたかもしれない。
その恐怖でぎゅっと目を閉じていたが、優しい声音に目を開けると律が柔らかな表情で見つめていた。
「わ、すごい…私、旦那様に触ってます…!」
律にしっかりと抱えられ、澄は瞬きを繰り返した。
闇の中だが、律と澄はお互いの姿をしっかりと認識できる。
明かりもないというのに。
奇妙な空間だが、これが律の作り上げた闇の世界、幽界。
「俺が作った闇の異空間だからな。本来の用途とは違うが、俺以外は異能を使えない空間。だから、澄も異能力を使えないんだ」
「作った空間…ですか」
不思議そうに繰り返すと、突然澄は律の顔をぺたぺたと触り始めた。
「…何をしている」
「旦那様が作った世界なのですから、旦那様もこの世界の一部なのかと…」
感心しながら触っていると、律がため息を吐いた。
「作ったのはこの空間だけで、俺は本物だ」
「へっ…!? も、申し訳ございません…!」
律の言葉に慌てて手を引っ込めると、謝った。
「…まぁいい。今日はここで、雷が収まるまでいればいい。ここには雷は届かない」
「…旦那様」
「どうした」
ゆっくりと澄を下すと、恐る恐る口を開いたので律は首を傾げた。

