「澄」
布団越しに聞こえる声は、律のもの。
掴んだ手は、すぐに離れてしまった。
(もしかして、またーー!)
そう思うと丸まっていた布団から顔を出し、律の様子を伺った。
ビリッと火花が散っていたようだが、律の手から放たれた黒い靄がそれらを吸収していた。
「も…申し訳ございませんっ…私、また…っ」
律は一歩距離を取り、静かに澄を見つめていた。
きっとまた、あの光の異能が反応したのだ。
「謝るな。澄は悪くない」
二度目だと言うのに、彼は責める事なく言った。
布団から顔を出した瞬間、再び雷が鳴れば「っーー!」と声を漏らしその場に固まった。
「澄。雷が怖いのか?」
「っ、怖いとか…そんなのじゃ…っ!」
雷鳴が轟くたびに小さくなる体。
律に甘えてしまえばきっと、傷つけてしまうかもしれない。
そう思うと、布団の中でただ丸まって、雷が過ぎ去るのを待つしかない。
そう思い、布団に潜ろうとした時だった。
「澄、来い」
名を呼ばれ彼の方を見ると、両腕を左右に広げていた。
「…え?」
「お前を、雷のない世界へ連れていってやる」
突然、律が突拍子もないことを言えば目を丸くした。
そんな事、できるはずがない。

