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月城家の屋敷は、人里離れた山の中にあった。
使用人は、昔から支えてくれる数人のみ。
両親と娘の澄の仲睦まじい三人家族。
しかし、その幸せは突然に奪われた。
「お母様っ…!」
山に落雷した事で、近くの木に引火し、それが一斉に火の海となり燃え広がっていった。
その火は、月城家の屋敷に燃え移った。
夜遅かったこともあり、火事になったという事に気づいたのは家に火が回った頃だった。
燃え広がる炎に耐え切れず、天井が崩れた。
落ちてきた瓦礫が母の体を押し潰す。
「澄…いいから、逃げなさい…」
「でも…! お母様が…!」
「あなた…お願い…」
母が父にそう告げると、今にも溢れそうな涙を必死に堪えて澄を抱えて外へ出ようとした。
けれど、そんな父と澄の上には箪笥が倒れてきた。
(重い、苦しいーーっ)
倒れた箪笥と、その下敷きになった父の体で、息ができなくなりそうだった。
けれど、澄の体はすり抜けて到着した救命異能隊に救われた。
その時、父はーー。
「ーーっ、ーー!」
何かを叫んでいた。
澄が助けられた頃には、家は全壊で月城家の生存者は澄だけだった。
一番、生き残るべきじゃなかったと思っている。
自分だけが生き残ってしまったことを、今でも許せずにいた。
あの時の、父の言葉だってきっとーー。

