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翌日、朝食を食べていると使用人達の内心は穏やかではなかった。
それは、律の頬が赤くなっており、それを処置した痕が残っていたからだ。
「坊ちゃん。その頬、どうなさったのですか」
「澄が来るかもしれないのに、坊ちゃんなんて呼ぶな。何でもない」
笹森は律が子どもの頃から世話をしている為、律の周りに使用人しかいない時はそう呼んでしまう。
「奥様、おはようございます」
他の使用人が、澄が食堂へやって来ると挨拶をした。
その瞬間、律の眉がぴくりと動いた。
「おはようございます」
控えめに挨拶する澄。
「おはようございます、旦那様」
澄が律にそう言うと「あぁ」と短く返事をした。
律の向かい側に座ると、食事に手をつける前に澄が口を開いた。
「旦那様…昨日は、申し訳ありませんでした」
「…済んだ事だ」
視線を逸らしながらそう答えると、それ以上言葉は続かなかった。
二人の食卓は使用人達が見守る中、静かに進んだ。

