契約結婚ですが、旦那様は私に触れられません 〜光と闇が紡いだ奇跡〜


「まさか。比べるまでもない」
「そう…なんですか…?」
「あぁ。だから、貴女の異能が欲しい。闇の異能は、光の異能を持つ者でなければ、世継ぎにまた闇の異能者を誕生させてしまうんだ」

一族の存続を取り戻すために、と付け加えられるとまた澄の心が揺らいだ。
律は、能力目当てだったとしても、自分を必要としてくれる。

数時間前、自分を追い出した叔父とは違う、と。

そう思うと、澄は筆を手に取り、最後にもう一度確認をした。

「あの、聞きづらいのですけれど、本当に…生活は保障してくださるのですか…?」
「もちろん。一年間はここで衣食住を保障する。一年以内に子どもができれば、今まで以上に手厚く、できなくて、離縁となっても貴女にお金の面で不憫な思いはさせない」
「…分かりました。それだけ、確認したくて」

いつか、誰かの元へ嫁ぐくらいならーー。
そう思い、澄は書類に署名した。

墨が紙へ染み込む。
その一筆が、澄の運命を大きく変えることになるとは、この時はまだ知らなかった。