契約結婚ですが、旦那様は私に触れられません 〜光と闇が紡いだ奇跡〜


「そう。そして、貴女がこの存在を知らないのも無理はない。始祖の異能だと知られれば争いになる。だから、光の異能は秘匿されているんだ」

律の説明に頷けた。
同時に、異能管理局の職員の態度にも納得がいった。
忌み異能だから、取り合ってもらえなかったのではなく、一部の人しか知らない事だったから、教えられなかったのだと。

「そして、俺の異能も貴女と同じ始祖の異能と呼ばれている、これだ」

巻物をトントンと指差した先にある文字に、目を見開いた。

「『闇』…ですか?」
「そう。良家の異能と呼ばれる異能力以外が『忌み異能』と呼ばれる元凶となったと言っても過言ではない能力」
「…えっ?」

律の言葉に動揺した。
まさか、名家と言われる久遠家の現在の当主が忌み異能を持つ人だとは思わなかったからだ。
良家と呼ばれる異能の最高峰だと、勝手に思っていた。

けれど現実は、その逆だった。

「俺が当主になってから、皆同じ反応をする。「上流名家でありながら忌み異能とは」と。そして、俺の家を上流名家から外そうとする目論見が企てられている」
「そんな…上流名家の方まで…。それじゃあ、私と同じじゃないですか」

深刻な顔をして現状を語る律。
律の言葉に澄が答えると、彼は眉をぴくりと動かした。
そんな言葉を掛けられたのは、初めてだった。