「…失礼致しました」
「え…?」
「どうぞ、中へお入り下さい」
門を開け、澄を中へ入れると早速屋敷の中へと案内された。
案内してくれる彼の足取りが早くなったのを感じ、澄は彼の後ろをついて歩くので精一杯だった。
「当主は書斎におります…当主様、当主様…! 私です。入りますぞ…!」
「…あぁ」
屋敷の奥にある部屋の前までやって来ると、柔らかな雰囲気を一変させ荒々しくドアを叩いた。
中から返ってきた声音は、氷のように冷たかった。
ドアの向こうにいた当主は、笹森とはまるで正反対の雰囲気を纏っていた。
「なんだ、笹森。騒々しいぞ」
「申し訳ありません…ただ、すぐにでも報告に参ろうと思いまして」
表情は決して柔らかくない。
けれど、とても綺麗な顔をしている男性だった。
冷たい眼差しさえ、美しいと思ってしまうほどに。
その顔には、思わず息をするのを忘れて見惚れた。
「いましたぞ…! 『光』の異能を持つ者が…! 月城様、こちらへ」
「は、はい…失礼致します」
笹森に案内され、部屋の中へ入った。
書斎は丁寧に整えられ、無駄のない動線。
作業がしやすそうな場所。
(でも、気難しそうなお方…流石は名家の当主…)
部屋に入ると、緊張感が高まった。

