(空って…こんなに高かったっけ…) いつもなら、ただぼんやりと空を見上げる余裕なんてなかった。 空を仰げば、雲ひとつない快晴。 何かを始めるにはうってつけの天気。 しかし、ここに一人とんでもない状況に陥った者がいる。 「これから…どう致しましょう」 風呂敷に包んだ荷物を片手に、ぼそりと呟いた。 その声は風にさらわれ、誰の耳にも届かない。 月城 澄(つきしろ すみ)、十八歳。 つい先ほど十三年間暮らした屋敷を追い出され、宿も、お金も、帰る家さえ失った元名家の養女である。