触れた瞬間。
純白だった陶器は一息でどす黒く変色し、生気を吸い取られたように細かなひびが走る。
乾いた音が連なり、器は抵抗する暇もなく、ばらばらに崩れ落ちた。
もはや元の形を推測することすらできない、無惨な灰の塊。
注がれていた茶さえも、『ジュッ』と不快な音を立てて蒸発し、
白い煙が、弱々しく天へ逃げていく。
鼻を刺す焦げた匂いが、遅れて喉の奥に絡みついた。
——これが俺だ。
触れると言う行為が、破壊と同義になる身体。
誰かを守るために手を伸ばしたくても、その手が最初に傷つけてしまう。
「俺が触れた物は、無機物であっても例外なくこうなる」
「え……?」
「これがもし、血の通った人間ならどうなるか。……想像できるか?」
みるみるうちに千鶴の顔から血の気が失せる。
噂や知識ではない。
目の前で物質が『死に絶える』瞬間を、彼女は初めて目撃したのだ。
「触れた瞬間、肌には焼ける痛みが走る。俺の加減次第で、対象は今の灰と同じ運命を辿る」
俺は淡々と言い、砕け散った残骸へ視線を落とす。
「慈悲など、微塵もない」
「っ……でも!『無華』のすみれ様は、暁お兄様に触れられるのでしょう!?でしたら、『青薔薇』である千鶴だって……!」
確かに、強大な『青薔薇』を持つ者なら、わずかばかりの抵抗は可能だったかもしれない。
だが千鶴のそれは、『青薔薇』の中でも脆弱な部類だと聞いている。
拮抗するには、父上や天皇陛下以上の桁外れな力が要る。
——理屈を並べれば、そうなる。
だが。
そんな論理的な理由は、所詮、後付けの言い訳に過ぎない。
純白だった陶器は一息でどす黒く変色し、生気を吸い取られたように細かなひびが走る。
乾いた音が連なり、器は抵抗する暇もなく、ばらばらに崩れ落ちた。
もはや元の形を推測することすらできない、無惨な灰の塊。
注がれていた茶さえも、『ジュッ』と不快な音を立てて蒸発し、
白い煙が、弱々しく天へ逃げていく。
鼻を刺す焦げた匂いが、遅れて喉の奥に絡みついた。
——これが俺だ。
触れると言う行為が、破壊と同義になる身体。
誰かを守るために手を伸ばしたくても、その手が最初に傷つけてしまう。
「俺が触れた物は、無機物であっても例外なくこうなる」
「え……?」
「これがもし、血の通った人間ならどうなるか。……想像できるか?」
みるみるうちに千鶴の顔から血の気が失せる。
噂や知識ではない。
目の前で物質が『死に絶える』瞬間を、彼女は初めて目撃したのだ。
「触れた瞬間、肌には焼ける痛みが走る。俺の加減次第で、対象は今の灰と同じ運命を辿る」
俺は淡々と言い、砕け散った残骸へ視線を落とす。
「慈悲など、微塵もない」
「っ……でも!『無華』のすみれ様は、暁お兄様に触れられるのでしょう!?でしたら、『青薔薇』である千鶴だって……!」
確かに、強大な『青薔薇』を持つ者なら、わずかばかりの抵抗は可能だったかもしれない。
だが千鶴のそれは、『青薔薇』の中でも脆弱な部類だと聞いている。
拮抗するには、父上や天皇陛下以上の桁外れな力が要る。
——理屈を並べれば、そうなる。
だが。
そんな論理的な理由は、所詮、後付けの言い訳に過ぎない。



