茶会以来、わずか二週間ぶりに訪れた鷹宮邸。
昼間の優雅な装いとは一変し、漆黒の闇に沈む巨大な門は、冷徹な意志を持って固く閉じられていた。
「五条家の暁臣だ。こちらに私の婚約者が滞在していると聞き、迎えにきた」
門番に短く、有無を言わせぬ圧を込めて告げる。
ほどなくして案内された邸内は、五条の本邸と同じように、歴史の重みと格式が空気を澱ませ、息を吐くことさえ躊躇われるほどに静まり返っていた。
案内された客間のソファに腰を下ろし、指先で膝を叩いて焦燥を逃がす。
襖一枚隔てた先にいるはずのすみれの気配が、感じ取れない。
それだけで肺の奥が焼けるようだった。
やがて、衣擦れの微かな音と共に襖が開いた。
「暁お兄様!まあ、千鶴に会いにいらしてくださったのね!」
「……千鶴」
無邪気な笑顔を振り撒きながら、当然のように俺の隣へ滑り込んでくる千鶴。
かつてなら見慣れた光景だったはずだが、今の俺には酷い違和感しか覚えなかった。
俺の隣にいるべき、あの控えめなすみれの気配とは、あまりにもかけ離れている。
「お夕食はまだでしょう?良かったらこれから、千鶴と……」
「いや、千鶴。すみれがここにいるのは分かっている。俺はすみれに用がある。今すぐ呼んでくれ」
露骨に不服そうな顔をしながら、千鶴が部屋を出ていく。
まずは、すみれが何を考えてここへ来たのか、それを確かめなければならない。
——早く。
待っている間の数分ですら、喉の奥が乾き、掌が冷える。
「……暁臣、様……」
「すみれっ!」
昼間の優雅な装いとは一変し、漆黒の闇に沈む巨大な門は、冷徹な意志を持って固く閉じられていた。
「五条家の暁臣だ。こちらに私の婚約者が滞在していると聞き、迎えにきた」
門番に短く、有無を言わせぬ圧を込めて告げる。
ほどなくして案内された邸内は、五条の本邸と同じように、歴史の重みと格式が空気を澱ませ、息を吐くことさえ躊躇われるほどに静まり返っていた。
案内された客間のソファに腰を下ろし、指先で膝を叩いて焦燥を逃がす。
襖一枚隔てた先にいるはずのすみれの気配が、感じ取れない。
それだけで肺の奥が焼けるようだった。
やがて、衣擦れの微かな音と共に襖が開いた。
「暁お兄様!まあ、千鶴に会いにいらしてくださったのね!」
「……千鶴」
無邪気な笑顔を振り撒きながら、当然のように俺の隣へ滑り込んでくる千鶴。
かつてなら見慣れた光景だったはずだが、今の俺には酷い違和感しか覚えなかった。
俺の隣にいるべき、あの控えめなすみれの気配とは、あまりにもかけ離れている。
「お夕食はまだでしょう?良かったらこれから、千鶴と……」
「いや、千鶴。すみれがここにいるのは分かっている。俺はすみれに用がある。今すぐ呼んでくれ」
露骨に不服そうな顔をしながら、千鶴が部屋を出ていく。
まずは、すみれが何を考えてここへ来たのか、それを確かめなければならない。
——早く。
待っている間の数分ですら、喉の奥が乾き、掌が冷える。
「……暁臣、様……」
「すみれっ!」



