【Web版】無華の花嫁2~花開く乙女は、お妃教育の先で黒薔薇の殿下に溺愛される~

いつものように、暁臣様が素手で私の手を包み込む。
もう片方の大きな手がゆっくりと頭を撫で、指先が髪を滑り落ちていく。
ここまでは、いつも通りの時間——のはずだった。

けれど最近は。
触れられるたび、胸が苦しいほどに波打って、困ってしまうことが増えた。
『安心』とは違う。もっと熱くて、もっと逃げ場のない何か。

耳たぶに指が触れた。
それだけで身体がびくりと震える。
そのまま熱を孕んだ指先が、私の首筋を、ゆっくりとなぞり下りていく。
くすぐったい、のに。
くすぐったいだけじゃ、なくて。

「すみれ……すまない」

囁きが低く落ちる。
怖いはずなのに、怖くない。
むしろ、もっと、と言いたくなる自分が、怖い。

「……もう少しだけ、欲張らせてくれ」
「っ……!」

彼の唇が、私の鎖骨の窪みにそっと触れた。
熱い。
反射的に身体がビクッと跳ねる。
恥ずかしくて、目を開けていられず、ぎゅっと強く閉じてしまう。

首筋にかかる彼の吐息が、最初は甘くくすぐったかったのに、次第に重く、深い感覚へと変わっていく。
もうドキドキするだけじゃ足りない。
心臓が今にも口から飛び出してきそうで、息をするやりことさえ忘れてしまう。

「っ、は……」
「……ぁき、おみ様……?」
「……そんなに息を止めていたのか?」

見透かすような声。
それだけで余計に顔が火照り、小さく頷くことしかできない。

「あまり、俺を試さないでくれ。……壊してしまいそうになる」
「ため……す……んっ……」