今日は、また新しい先生が来ると仰っていた。
大丈夫。
自分に言い聞かせるように、鏡の前で深く呼吸をする。
お休みの間、暁臣様のお言葉に従ってしっかり心身を休めた。
夜の復習も、彼が心配しない程度に留めるように心がけた。
そのおかげか、昨日も一昨日も、倒れることなく最後まで授業を受けることができた。
週に四回の授業が、五回に増えても。
たとえ、初めてお会いする先生だとしても、きっと——。
……きっと、耐えられる。
そうでなければ、私はここにいられない。
それでも、やはり初めての人と対面するのは、何度経験しても足がすくむほどに怖い。
まじまじと、この左右の瞳を見られるのではないか。
暁臣様の周りにいる方々は、皆一様に優しく、品格がある。
だからこそ、口に出さないだけで、内心ではこの『無華』の瞳を気味悪く、不吉に思われているのではないか。
そんな根深いうぬぼれにも似た不安が、常に影のように私に付きまとってくる。
——私を見下す人はいない。そう思いたいのに。
なのに、私が自分で自分を見下し続けてしまう。
玄関で迎えを待つこの時間も、本当はどこか遠くへ逃げ出したくなる。
けれど逃げたら、暁臣様の顔に泥を塗る。
そう思うだけで足が止まり、息が詰まる。
何度も大きく息を吸って、吐いてを繰り返し、胸のざわめきを無理やり抑え込む。
やがて、侍従さんの手によって、重厚な玄関の扉がゆっくりと左右に開かれた。
緊張のあまり、心の中で『大丈夫』と呪文のように何度も唱える。
藤波様に『俯いてはいけない』と厳しく教わったばかりなのに、抗えない恐怖に思わずギュッと目を閉じてしまった。
——見られる。
その想像だけで、喉がからからに乾く。
「——すみれお嬢様」
鼓膜に届いたのは、驚くほど耳に馴染んだ、穏やかな声だった。
一瞬、世界が止まる。
私は弾かれたように顔を上げる。
大丈夫。
自分に言い聞かせるように、鏡の前で深く呼吸をする。
お休みの間、暁臣様のお言葉に従ってしっかり心身を休めた。
夜の復習も、彼が心配しない程度に留めるように心がけた。
そのおかげか、昨日も一昨日も、倒れることなく最後まで授業を受けることができた。
週に四回の授業が、五回に増えても。
たとえ、初めてお会いする先生だとしても、きっと——。
……きっと、耐えられる。
そうでなければ、私はここにいられない。
それでも、やはり初めての人と対面するのは、何度経験しても足がすくむほどに怖い。
まじまじと、この左右の瞳を見られるのではないか。
暁臣様の周りにいる方々は、皆一様に優しく、品格がある。
だからこそ、口に出さないだけで、内心ではこの『無華』の瞳を気味悪く、不吉に思われているのではないか。
そんな根深いうぬぼれにも似た不安が、常に影のように私に付きまとってくる。
——私を見下す人はいない。そう思いたいのに。
なのに、私が自分で自分を見下し続けてしまう。
玄関で迎えを待つこの時間も、本当はどこか遠くへ逃げ出したくなる。
けれど逃げたら、暁臣様の顔に泥を塗る。
そう思うだけで足が止まり、息が詰まる。
何度も大きく息を吸って、吐いてを繰り返し、胸のざわめきを無理やり抑え込む。
やがて、侍従さんの手によって、重厚な玄関の扉がゆっくりと左右に開かれた。
緊張のあまり、心の中で『大丈夫』と呪文のように何度も唱える。
藤波様に『俯いてはいけない』と厳しく教わったばかりなのに、抗えない恐怖に思わずギュッと目を閉じてしまった。
——見られる。
その想像だけで、喉がからからに乾く。
「——すみれお嬢様」
鼓膜に届いたのは、驚くほど耳に馴染んだ、穏やかな声だった。
一瞬、世界が止まる。
私は弾かれたように顔を上げる。



